洛西の水田におけるシギ・チドリ類の春の渡り

 田植えが6月上旬で、渡り最盛期に田んぼに水がなく、飛来するシギ・チドリ類はわずか

 春、洛西 - 京都府の南西部 - の田んぼに飛来するシギ・チドリ類は、繁殖しているケリをのぞき、わずかです。 これは洛西における稲作暦(いなさくごよみ)が大きく影響していると考えられます。

 シギ・チドリ類は春にシベリアなどの繁殖地へ移動の途中、日本へ一時的に立ち寄ります。 その時期は概ね4月上旬から5月中旬です。 洛西では、早いところで5月中旬、ほとんどの田んぼで5月下旬になってようやく水が入りはじめます。 田植えは概ね5月下旬から6月上旬です。 5月下旬まで田んぼは耕起田や刈田の状態にあり、乾燥しています。 シギ・チドリ類の通過時期にそれらの多くが好む湛水した環境がありません。 このため、春、洛西の田んぼに飛来するシギ・チドリ類は少ないと考えられます。

 一方、ムナグロやジシギ類などやや乾燥した環境も好む種の飛来もほとんどないことから、種によっては、春と秋で渡りのコースが異なることも考えられます。

 春、田んぼに立ち寄るシギ・チドリ類は、雨後に水溜りの出来た刈田や休耕田などに飛来するコチドリやタシギ、草の生えたあぜなどに飛来するジシギ類、乾燥した耕起田などに飛来するツバメチドリなどですが、コチドリやタシギをのぞき、いずれもまれです。

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09.05.04 N