1月下旬、京都・洛西(らくさい)の桂川(かつらがわ)で、ツクシガモ Tadorna tadorna を観察しました。
中洲と流れとの間の浅場で休んでいました。
採餌することもありましたが、ほとんど動かず、ついには嘴(くちばし)を背に差し、休みはじめました。
ツクシガモが桂川に飛来 |
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2013年9月、台風による大水で、京都・嵐山(あらしやま)の桂川にかかる渡月橋(とげつきょう)が水に浸かり、そのことが全国に報道されました。
それ以来、桂川では大水に備える工事がすすみました。
中洲・寄り洲の除去、河川敷の木の伐採、堰(せき)の撤去、護岸など、様々な工事がさかんに行なわれました。
あの大水から10年になろうとしていますが工事はまだ続いています。
多くのヨシ原や、やぶが消失し、オオヨシキリ、ウグイスなどの繁殖場所、アオジ、オオジュリンなどの越冬場所が減少しました。
河畔の木の消失により、春秋の渡りの時期に訪れるキビタキ、ムシクイ類などの通過の鳥が休む場所も減少しました。
中洲・寄り洲が除去された所では、流れが横に広がり、水深が浅くなりました。
水に浸かるか浸からないかぐらいの浅場や干潟のような場所がたくさんできました。
そこに数十羽のイカルチドリがいたり、その営巣場所ができたりもしました。
このたびのツクシガモの飛来も、それが好む干潟のような環境ができたことによるのでしょう。
中洲や林を残すも一興、失くすも一興といったところでしょうか。
どちらがどうとは言えませんが、人間活動に左右される鳥の姿が見え隠れします。
左右されるというよりは、それら人間によって創出される環境を好む鳥が飛来している、ただそれだけといった方がよいのかもしれません。
ツクシガモは日本では冬鳥として知られています。
その大半は九州北部の有明海(ありあけかい)沿岸に飛来することが知られています。
近畿地方では、大阪湾沿岸に少数が飛来することがあるようです。
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2023.02.13