カワセミの飛び出し速度を計算する - 2枚の写真から

 12月中旬、京都・洛西(らくさい)の桂川(かつらがわ)で、カワセミ Alcedo atthis を観察しました。

 小走りか早歩き

 倒木に止まっているカワセミを撮影中、飛び出しました。 その時の2枚の写真です。 わずかに手前に進行していますが、向かって直角方向へ飛び出したと仮定しまして、その飛び出し速度を計算します。
 この2枚の写真を撮影する間に、カワセミが前進した距離と、2枚を撮影するのにかかった時間が分かりますと、その答えが得られることになります。

カワセミの飛び出し直後 その一
カワセミの飛び出し直後 その一

カワセミの飛び出し直後 その二
カワセミの飛び出し直後 その二

 いくつかの文献によりますと、カワセミの全長(くちばしの先から尾羽の先までの長さ)は

 17cm = 0.17m ・・・・・・・・・・ ①

 上の2枚の写真の間にカワセミが前進した距離は、写真から、体長の約2倍です。すなわち、

 ① X 2 = 0.17m X 2 = 0.34m ・・・・・・・・・・ ②

 撮影に使用したカメラの連続撮影性能は取り扱い説明書より

 1秒間に約6枚

 よって1枚目と2枚目との間の撮影時間

 1秒 ÷ 6枚 = 1/6秒 ・・・・・・・・・・ ③

※ なお、この写真を撮影した時のシャッター速度は1/500秒ですので、③に比べまして十分に小さく、省略できるとします。 1/6秒 ≫ 1/500秒

 以上からカワセミの飛び出し速度

 ② ÷ ③ = 0.34m ÷ (1/6秒) = 約2.04m/秒

 これを時速に換算しますと

 2.04m/秒 X 60秒/分 X 60分/時 = 7344m/時 = 約7.3km/時

 向かって直角方向へ飛び出したと仮定しましたが、30°手前に飛び出していたと仮定しましても

 7.3 X ( 2/√3 ) = 約8.4km/時

 私たちの徒歩の速度は、約4km/時です。 よってカワセミの飛び出し速度は私たちの早歩きか、小走りくらいということになります。


※ 参考
 2017年、短距離走の桐生祥秀(きりゅう よしひで)選手が100mを9.98秒で走り、話題になりましたが、100mを10秒で走った時の時速は

 (100m ÷ 10秒) X 60秒 X 60分 = 36000m/時 = 36km/時 ※100mを10秒で走った時の時速
 (100m ÷ 9.98秒) X 60秒 X 60分 = 36072m/時 = 36.072km/時 ※100mを9.98秒で走った時の時速
 → 1時間で72mの差になります。

 2000年、オーストラリアのシドニー五輪のマラソン競技で、高橋尚子(たかはし なおこ)選手が優勝した時の記録は、2時間23分14秒です。 マラソン競技の距離は、42.195kmですので、時速は

 42.195km ÷ 2時間23分14秒 = 42.195km ÷ (2+(23/60)+(14/3600))時間 = 17.7km/時
 → 女子マラソンの選手は男子100m走の選手の半分の時速で走っていることになります。

 毎年、地元・京都の西京極を起点・終点に行なわれる全国高校駅伝の男子の大会記録は、2015年、広島県の世羅(せら)高校が記録した、2時間1分18秒です。 距離は、マラソンと同じ、42.195kmですので、時速は

 42.195km ÷ 2時間1分18秒 = 42.195km ÷ (2+(1/60)+(18/3600))時間 = 20.9km/時


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2018.03.12