4月上旬、京都・洛西(らくさい)の山地で、ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis を観察しました。
春先、洛西の山地の林でヒヨドリに出会いますと、その多くは嘴(くちばし)のつけ根が黄色くなっています。
これはヒヨドリ自身の体色の変化ではありません。
ほかの花々に先駆けて、花盛りを迎えるヤブツバキの花蜜(かみつ)をヒヨドリが食べているからです。
ヤブツバキの花蜜は花の中心、花弁(かべん・はなびら)の付け根付近から分泌されます。
ヤブツバキの花を訪れたヒヨドリは花蜜を目当てに花の中心へ嘴(くちばし)を差し込みます。
この時、おしべの先にある黄色い花粉がヒヨドリの嘴のつけ根に付着します。
これにより黄色くなります。
ヤブツバキからしますと、別の株へとヒヨドリに花粉を運んでもらう効果があります。
花蜜を出して、ヒヨドリに花粉を運んでもらっていると言った方が正しいでしょう。
おしべの長さも絶妙で、これよりも短いですと、嘴にしか花粉が付着しませんが、ちょうど眉間の羽にも付着するほどの長さです。
これによりさらにたくさんの花粉が付着するようです。
ヒヨドリの嘴(くちばし)のつけ根が花粉で黄色い |
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ヒヨドリの嘴(くちばし)のつけ根が花粉で黄色い - 拡大 |
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ヤブツバキはツバキ科の常緑広葉樹です。 まだ寒い冬の最中から咲きはじめます。 洛西では山地の、やや暗い広葉樹林によく生えています。 あまり背は高くなりません。
ヤブツバキの花。おしべの先に黄色い花粉。 |
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2016.04.22