【グラフで見る】 鳥類の潜水時間 - 潜水カモ -
ホシハジロ キンクロハジロ スズガモ クロガモ

 いわゆる潜水カモと呼ばれるカモの一群の潜水時間を測定しました。 ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモの潜水時間の最大値と平均値とをグラフに示します。
 なお、ホシハジロ、キンクロハジロは京都・洛西(らくさい)の桂川(かつらがわ)で、スズガモ、クロガモはそれぞれ近畿と関東の海で観察しました。

潜水時間の最大値と平均値(単位:秒) - 潜水カモ
潜水時間の最大値と平均値(単位:秒) - 潜水カモ

 20秒ほど

 グラフから、ホシハジロ、キンクロハジロは20秒ほど潜水できることが読み取れます。 潜水中の行動はよく分かりませんが、つかまえた餌(えさ)を水中でのみ込んでいるか、あるいはえさが見つからず探し続けているかと考えられます。
 この2種は潜水して浮上しても、一見、何もくわえていないように見えますが、時々嘴(くちばし)をもぐもぐと動かしていることがあります。 ホシハジロ、キンクロハジロはえさをくわえて浮上したことが数回ありましたが、いずれも嘴(くちばし)から水草(オオカナダモ)がわずかにはみ出していました。 桂川の水底には水草(オオカナダモなど)がまとまって生えている場所がいくらでもあります。 採餌場所の水深も1m前後と思われますので、えさを探しているというよりは、水草の生えている場所をめがけて潜水して、そこでえさを食べ続けているものと考えられます。 キンクロハジロは貝類を好むそうですが、桂川の水底の砂をタモ網でさらいますと、ところにより、シジミ類(タイワンシジミと思われます)がたくさん入ります。 水草のほか、これら貝類も食べているものと思われます。 したがっていずれも水中で食べ続けて、息が続かなくなると、浮上しているものと考えられます。
 河川よりもずっと広く深い海で越冬しているスズガモは意外に潜水時間が長くありません。 スズガモは遠浅の海で採餌していますので、それほどの潜水時間を要しないのでしょうか。

 50秒近く

 クロガモは50秒近くも潜水でき、今回、測定した潜水カモの中では群を抜いています。 クロガモは沿岸海域や、それよりもやや沖で越冬しています。 河川などに比べて広く深い海で採餌するだけあって、より長く潜水できるようです。 今回、クロガモがえさをくわえて浮上する例は観察できませんでしたが、貝類や甲殻類を食べるそうです。

クロガモのめす(右)とおす
クロガモのめす(右)とおす


※ 補遺
 ・潜水行動は、危険回避や巣材採取のために行なうこともありますが、ほとんどは餌(えさ)を捕まえるために行ないます。 ある個体が潜水する場合を考えると、1回の潜水時間は、空気を吸わずに行動できる、その種特有のある程度の限界を基本として、えさの捕獲の成否・水深・個体の齢や性・空腹度などによって決まると考えられます。
 ・各種につき、潜水行動を少なくとも10回は観察、その潜水時間を測定しました。 外見からめす・おすが区別できる種についてはめす・おすそれぞれ10回以上の測定で、値の大きい方で代表しています。
 ・いずれの種も窒息する寸前まで潜水することはほとんどないでしょうから、その種の潜水可能な時間の最大値の測定は基本的に困難と考えられます。 それを踏まえますと、今回の測定結果よりも長く潜水できるであろうということを踏まえておかなければなりません。


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2013.09.13