8月下旬、京都市の鴨川(かもがわ)でハシボソガラス Corvus corone を観察しました。
流れの緩やかな浅瀬にハシボソガラス数羽が飛来していました。
めいめいが川底の石を裏返しては石の裏側をついばんでいました。
食べていたのは水生昆虫のトビケラ類の幼虫です。
中でもヒゲナガカワトビケラの仲間の幼虫です。
ヒゲナガカワトビケラの仲間の幼虫は、石の裏に、自身の出す糸で周囲の砂粒や小石をくっつけて巣を作り、そこに身をひそめています。
ハシボソガラスは石をくわえては裏返し、石の裏に作られた巣を崩して幼虫をくわえ取っては丸のみにしていました。
石を裏返している間に巣が壊れて幼虫が流れ出すこともあるようで、裏返してすぐの石の下流側をあわててついばんでいることもありました。
それにしましても、石を裏返すとトビケラの巣があり、そこに幼虫がひそんでいることをどのように知ったのでしょう。
ハシボソガラスがヒゲナガカワトビケラの仲間の幼虫をくわえる |
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ハシボソガラスは流れの中で石を裏返すことが多かったですが、川底の石をくわえて持ち上げて、水面から露出している石の上に、裏向けに置いてから、ヒゲナガカワトビケラの仲間の巣を崩すこともありました。 水中で巣を崩すと幼虫が川に流れ出てしまうおそれがあるため、それを避けようとしているのかもしれません。 カラスらしい知恵の一端といったところでしょうか。 ずいぶん大きな石を持ち上げることができるものです。
ハシボソガラスが川底の石をくわえて持ち上げる |
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ハシボソガラスが、水面から露出した石の上に、川底の石を裏返しに置き、トビケラ類の巣を崩す |
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ヒゲナガカワトビケラの仲間はトビケラ目の水生昆虫です。
幼虫と蛹(さなぎ)の時期を水中の巣で過ごします。
羽化して成虫になると空中に飛び出します。
写真の黄土色の大きな石には砂粒や小石がたくさん付着しています。
これらはすべてヒゲナガカワトビケラの仲間が出す糸でくっついています。
写真の幼虫は体長3cmほどです。
石の裏に巣を作るヒゲナガカワトビケラの仲間の幼虫 |
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2012.09.17