今年、2012年は、天文学を扱う科学館やウェブサイトなどでは、エクリプスという言葉が散見されます。 日本の多くの地域で日食(にっしょく)、しかも金環日食(きんかんにっしょく)が観測できるとされているからです。 2012年5月21日の朝がその時です。 京都では、計算上、1730年以来、282年ぶりだそうです。 もちろん多くの地域で観測できるか否かはお天気しだいです。 282年前、江戸時代の京都では見ることができたのでしょうか。 今から3年前の2009年7月22日、京都・洛西(らくさい)では部分日食(ぶぶんにっしょく)を見ることができました。
部分日食 - 2009年7月22日 洛西 |
|
エクリプス eclipse といえば、カモ類のおすの羽衣(うい)で、繁殖羽(はんしょくう)から換羽(かんう)した、めすに似た地味な目立たない状態を指す言葉です。
鳥類学の用語のようですが、もともとは天文学の用語だったようです。
天文学で、エクリプスと言えば、日食や月食など、いわゆる「食(蝕 しょく)」のことを指します。
太陽が月の陰に隠れる日食、月が地球の陰に隠れる月食などです。
観測者(一般に地球)から見て、ある天体の陰(背後)に別の天体の全部または一部が隠れてしまう現象です。
これになぞらえて、鳥類学では、地味な羽衣になったカモのおすをエクリプスと形容したようです。
派手な繁殖羽が輝きを失うということなのでしょう。
※ 換羽(かんう):羽が生えかわること。
エクリプスに換羽中のおすのマガモ - 6月中旬 | 繁殖羽のおすのマガモ - 1月中旬 |
|
|
国内で越冬しているほとんどのカモは春になると繁殖地へと渡去します。
エクリプスへと換羽するのは繁殖期を終えたあとです。
そのため洛西でエクリプスの個体を見る機会は多くはありません。
時に越夏(えっか)する個体か、あるいは秋、9、10月頃に渡来する個体です。
ただし、秋に見られるエクリプスは繁殖羽に換羽中の個体が多く、まだ換羽をはじめていないエクリプスの個体はそれほど多くはありません。
洛西では、マガモの中に越夏する個体が時々いますので、見る機会があります。
秋はコガモにエクリプスが比較的多く見られます。
ミコアイサは換羽の遅い方で、12月でもエクリプスを見ることがあります。
※ 金環日食の詳細や観測時の注意点などは以下の参考リンクでご確認下さい。
< 参考リンク >
2012年5月21日 金環日食 ※ 国立天文台ホームページ
大阪での金環日食2012年5月21日 ※大阪市立科学館ホームページ
2012年5月21日 282年ぶり京で金環食 : 京都新聞
2012.04.02