2月上旬、京都・洛西(らくさい)の山地の林でルリビタキ Tarsiger cyanurus を観察しました。
イノシシ(ニホンイノシシ Sus scrofa leucomystax)には地中の植物の根やイモの類、ミミズなどの小動物を、地面から掘り出して食べる習性があります。 大型哺乳類であるイノシシの掘る穴は、しばしば直径50cm以上、深さ数十cmほどにもなります。 山地や里山などでこのような大きな掘り跡があれば、まずイノシシが掘ったものと考えられます。 洛西の山地の林縁部にその穴がまとまっていくつかあいていました。 そこでルリビタキが採餌していました。
イノシシの掘った穴。手前にはかき出された土。 |
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ルリビタキは穴の周辺の短く突き出た草木に止まり、周囲を見渡します。
しばらくすると、穴の中や、穴からかき出された土の上に下りて何かをついばみ、再び草木に止まります。
このようにしていくつかの穴を移動することを繰り返していました。
ルリビタキが食べているものは微小なようで、観察では何を食べているのかは分かりませんでした。
ルリビタキの下りる場所は、穴の中や、そこからかき出された土の上です。
その土を観察してみましたが、よく分かりませんでした。
イノシシは鳥では到底掘れないような大きな深い穴を掘りますので、越冬中の虫やその卵、サナギなどが掘り出されているのでしょうか。
植物の種子なども掘り出されているかもしれません。
ただしミミズやイモなどの大きなえさはイノシシが食べてしまいますので、イノシシの食べなかったえさに限られます。
ルリビタキばかりでなく、その他の種もこの恩恵を受けている可能性は十分に考えられます。
「片利共生(へんりきょうせい)」という言葉があります。
ある種の行動によりもう一方の種が利益を得るが、利益を与える側にとって、利益を受ける側が何の利害もない場合をこう呼びます。
イノシシとルリビタキとの関係はまさに片利共生の関係だと言えそうです。
イノシシのかき出した土の上でルリビタキが採餌する |
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2011.03.07