カモ類、カイツブリ類、カモメ類など、水鳥が水面に浮いた状態から飛び立つ際、浮いているところから直接飛び立つことのできる種と、そうでない種、すなわちはばたきながら助走しないと飛び立てない種があります。
カワウは助走しないと飛び立てない種です。
カワウが飛び立とうと、はばたきながら水面をけって浮上した瞬間が下の写真です。
水面にカワウの足跡が波紋として残っています。
はじめの方の波紋は消えかかっていますが、カワウの浮いていた位置を"0"、水面へのはじめのひとけりを"1"として概ね波紋の右下に順に数字を添えました。
"1"回目から"8"回目で浮上したことがこの写真でお分かりになると思います。
水面を"8"回けって浮上したカワウ |
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助走の際、カワウは左右の足を交互には出していません。
両足で同時に水面をけっています。
つまり"8"回のけりではありますが、左右同時に"8"回、両足を合わせると"16"回、水面をけっています。
走るのではなく、跳ねています。
「助走」ではなく、「助跳(じょちょう)」といったところでしょうか。
その様子が下の写真です。
左上から時計回りにご覧下さい。
写真@:両足を前に出しながら両翼をふり上げます
写真A:前に出した両足が着水した時点で両翼が最高点に
写真B:両足で水面をけると同時に両翼をふり下ろします
写真C:再び両足を前にふり出しながら両翼をふり上げます
左上から時計回りにご覧下さい。 ※ 写真はいずれも拡大しません。 | |
@両足を前にふり出しながら両翼をふり上げます → | A両足の着水とともに両翼が最高点に ↓ |
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↑ C再び両足を前にふり出しながら両翼をふり上げます | ← B両足で水をけると同時に両翼をふり下ろします |
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このように両足で水をひとけり(ひとかき)すると同時に両翼をひとふりしています。
同時に行なうことで推進力を一気に得ることができるのでしょう。
なおはじめに浮いている状態から飛び立つ行動に移る際に"1"回はばたきますので、おそらく水中でひとけりしていると思われます。
すなわち先の例では"0"の位置で水中でひとけりしていると考えられます。
カワウが水面から飛び立つ様子を観察したことのある方でしたらお分かりになると思いますが、その様子は一見、非常にドタバタした印象で、複雑な動きをしているように見えます。
しかしその行動をこのように分解してみますと、至って単純な動作の繰り返しです。
鳥の行動は奥が深いですね。
先にご紹介しました水面を"8"回けって飛び立った例を含め、カワウの水面からの飛び立ちを合計"5"例観察しました。 浮上までに水面をけった回数は、最少が"8"回、最多が"20"回、平均"13.2"回でした。 観察例は少ないですが、概ね"10"回あまり水面をけって飛び立つようです。 回数を左右する要因としては、その時の風力や風向などのほか、飛び立ちの緊急度(外敵が迫っているなど)や、年齢などが考えられます。
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08.12.29 N