コサメビタキの造巣行動(巣作り)

 4月下旬、京都・洛西(らくさい)の山地の林でコサメビタキ Muscicapa dauurica の造巣行動(巣作り)の様子を観察しました。 樹高約17mのアカマツの枯れ木の先端部で巣作りをしていました。 周辺の木もほぼそのくらいの高さです。 巣はまだ土台作りといったところでした。

 巣材運びは2、3分に1回

 巣に留まっている時間は短く、巣材を入れては飛び出すことを繰り返していました。 巣には2、3分に1回出入りしていましたが、数秒から数十秒間隔のこともありました。  巣材の採取は2羽が別々の場所へ出かけて単独で行なっているようでしたが、林の中に消えてしまうため、詳しくは分かりません。 しかし1羽が巣に一旦戻って出てゆくと、すかさずもう1羽が入って来ることも少なからずありましたので、2羽で行動しているときもあるのかもしれません。 あるいはお互いが相手の位置を把握しながら行動しているのかもしれません。 巣で2羽が出くわすこともたまにありましたが、先に入った方がすぐに退いていました。

 1回に運ぶ巣材は少量

コサメビタキが巣に多めのコケを運ぶ
コサメビタキが巣に多めのコケを運ぶ

ほとんどは少量の巣材を運ぶ
ほとんどは少量の巣材を運ぶ

 運んだ巣材のうち、分かったもののほとんどはコケでした。 1回に運ぶ巣材はほんの少量です。 何もくわえず戻って来たと思ってもよく見ると何かくわえていることが多かったです。 左の上の写真の巣材は多いほうで、その下の写真のようにくわえているのかどうかがはっきり分からないぐらいの少量を運んで来ることがほとんどです。 したがってコサメビタキの巣はさほど大きなものではありませんが、完成までの巣材運びはかなりの回数にのぼりそうです。

 巣材を嘴〜胸〜腹で巣に押しつける

コサメビタキが巣に巣材を押しつける
コサメビタキが巣に巣材を押しつける

 巣材を巣の上に置いたあと、多くの場合、首を下方へ曲げて嘴(くちばし)〜胸〜腹を巣に押しつけていました。 これは巣材を巣に固定している行動と思われます。 このとき写真のように翼を広げることもよくありました。 翼を広げるのは一瞬で、バランスをとっているものと思われます。

 木の幹に生えたコケを嘴でつついて採取

巣材を調達していたコケの生えたコナラの幹
巣材を調達していたコケの生えたコナラの幹

 巣材を採取した場所で分かったものにコナラの幹があります。 幹に近い枝に止まって嘴でつついてコケを採取する様子が数回観察されました。 1回の巣材の採取で幹をつつく回数は数回です。 先に述べたように巣材は少量しか運ばないようですので、少しでも採取できれば巣に戻っているものと考えられます。

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07.08.26 N