サンコウチョウの餌運び(えさはこび)

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ひなの口の中へえさを入れるめす
ひなの口の中へえさを入れるめす

 7月上旬、京都・洛西(らくさい)の谷あいでサンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata の親鳥が巣内のひなにえさを与えるようすをおよそ半日観察しました。なお、すべて写真撮影によりえさを分析しました。

 (えさ運びの回数) めす:おす = 1:2 

 観察されたえさ運びの回数は31回です。 おす20回に対して、めす11回でした。 おすのほうがめすよりも多くえさを運んでいました。 これは後述しますが、体の大きさと運んで来るえさに関係しているのではないかと推測しました。

 (えさ) ガ・トンボ・クモ

サンコウチョウのえさ運びの内訳
サンコウチョウのえさ運びの内訳






 ひなに運んでいたえさで分かったものには、ガ、トンボなどの虫がありました。

 くちばし幅のえさというのは、くわえているのは分かるのですが、小さくて何か分からなかったものです。 その中で一部、分かったものにクモがあります。 多くはおそらく小さな虫だと思いますが、詳しくは分かりません。

 不明としましたえさは、親鳥が運び込んですぐにひなの口にすっぽりと入り、識別できなかったものです。 トンボほどの大きさであればひなの口からえさが突出しますので、少なくともガの大きさ以下のえさということになります。

 (運ぶえさの大きさ) めす<おす 

トンボのなかまをあたえるおす
トンボのなかまをあたえるおす

ガのなかまをあたえるおす
ガのなかまをあたえるおす

 グラフを見ると分かりますが、ガやトンボなど大きなえさをつかまえているのはおすでした。 めすはくちばし幅の小さなえさを主に運んでいました。 サンコウチョウは、尾をのぞいた体長で比較しても、おすのほうがめすよりも一回り大きいのですが、 体に対して相対的に同じ大きさのえさを運ぶとしたら、当然おすのほうが大きなえさを運ぶことになります。

 タカは一般的におす・めすで大きさが異なります。 オオタカやクマタカなど、多くの種でめすのほうがおすよりも大きいのですが、 巣の周辺にあるえさ資源を、大きなものから小さなものまで幅広く利用するためであるということが言われています。 サンコウチョウの場合もそのようなことが言えそうです。

 また写真を見ても分かるとおり、大きなえさのほうが、小さなえさの何倍かの"食べで"がありそうです。 ここにおす・めすでえさ運びの頻度に差が出る秘密のヒントがありそうです。 すなわち、小さなえさを何回も運ぶよりは、大きなえさを一回運んだほうが余程ヒナの成長に効果があるからです。 めすもえさを運ぶのは、少なくともヒナの成長の"足し"になるからでしょう。

 えさは頭からヒナの口へ

 大きなトンボなどの大きな虫でも翅や足をとらずにそのままヒナの口へ入れていました。 これも写真の通りです。 少しでも栄養になるようにということなのでしょうか。 ヒナの口に入りきらないこともしばしばでした。

 またこれらのえさは、必ず頭からヒナの口へ入れていました。 カワセミなど魚をあたえる種でも、ひれなどが喉にひっかからないように頭から入れると言われていますが、まさにこれと同じようなことが言えそうです。 つまり、虫の翅や脚がのどにひっかからないようにこうしているということです。 虫は、頭(背)から殻を脱ぐように脱皮しますが、そのように頭から出ると体が殻にひっかからないようになっているのでしょう。

 サンコウチョウの背景には多様な虫

 このようにサンコウチョウはトンボ、ガ、クモなどの虫を主なえさとしていました。 トンボの幼虫は川で水生昆虫などの小動物をえさとしています。 トンボの成虫も空中でハエやカ、ガの仲間などの虫をえさとしています。 クモも小動物をえさとしています。 トンボやクモのえさとなる虫の多くは植物や腐植質のものをえさとしています。 これらのことから、サンコウチョウは、植物から虫、虫から鳥、という食物連鎖の上位にいることが分かります。 サンコウチョウのえさとなる虫の量、その虫のえさとなる虫や植物の量などを想像しますと、その値はずいぶん大きなものになることでしょう。 サンコウチョウの生息ひとつとってみましても、その背景に豊富な虫、豊富な植物の存在がうかがえます。

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