コチョウゲンボウの餌(えさ) - カワラヒワをハンティング

 12月下旬、京都・洛西(らくさい)の農耕地でコチョウゲンボウ Falco columbarius を観察しました。

 電線に止まり、カワラヒワを食べる

 コチョウゲンボウのおすが小鳥大のものをつかみ、農耕地の上空を飛行し、やがて電線に止まりました。 そこでつかでいたものを食べはじめました。 つかんでいたのはカワラヒワでした。 カワラヒワの頭部をつかみ、頭部からついばんでいました。 しばらくすると、カラスに警戒したのか、飛び立ち、遠方へ離れて行きました。

カワラヒワを頭部からついばむコチョウゲンボウのおす
カワラヒワを頭部からついばむコチョウゲンボウのおす

 コチョウゲンボウにとってカワラヒワは、体重70kgの人が10kgのものを運ぶことに相当

 カワラヒワをつかんだコチョウゲンボウはケリかカモメを思わせる深いはばたきで、しかもふわふわと飛んでいました。 普段、直線的に飛行するコチョウゲンボウがこのように飛行していたのは、運んでいた物、すなわちカワラヒワがコチョウゲンボウにとって大きな獲物であったせいではないかと思われます。 それを計算によって確かめてみます。

 体重の比は、概ね体長の3乗の比に近似することが知られています。 コチョウゲンボウ、カワラヒワともに、別段、嘴(くちばし)や尾が長い種ではありませんので、この比は種が異なっても近似しそうです。 いくつかの文献によりますと、コチョウゲンボウのおすの体長は約29cm、カワラヒワの体長は約15cmです。 したがってコチョウゲンボウの体重とカワラヒワの体重の比は

 15 3 ÷ 29 3 = ( 15 ÷ 29 ) 3 = 0.138.....

 すなわち、カワラヒワの体重はコチョウゲンボウの14%ほどであろうと推定できます。 これを体重70kgの人にたとえますと

 70 × 0.14 = 9.8

 概ね体重70kgの人が約10kgのものを運ぶことに相当します。 少し重そうです。 このため、懸命に羽ばたき、飛行が不安定になっていたことが考えられます。


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10.01.11 N