コガラの造巣行動(巣作り)

 4月上旬、京都・洛西(らくさい)の山地の林でコガラ Poecile montanus の巣作りを観察しました。

 枯損木に巣穴を掘る

コガラが巣穴を掘り、木くずを落とす
コガラが巣穴を掘り、木くずを落とす

 林道の法面とコナラ林との境界で巣作りをしていました。 根元から1mあまりだけ残った、枯れたリョウブ?の幹の上部に巣穴を掘っていました。 巣穴はすでに尾羽を残して体がすっぽり入るほどの深さまで掘りすすめられていました。

 周囲を警戒しながら巣作り

コガラが巣穴掘りを中断して周囲を警戒する
コガラが巣穴掘りを中断して周囲を警戒する

 巣穴の中に体を入れて数回つついては体を巣穴の外に出して周囲を見回し、再び掘りすすめるという行動を繰り返していました。 掘っている途中で、一旦、体を巣穴の外に出すのは、周囲を警戒しているためであると思われます。 1羽がつついている間、もう1羽は巣穴近くのヒサカキなどの低木で採餌していました。 この行動もつがい相手が巣作りをしている間、それを見守り周囲を警戒しているとも考えられます。

 おす、めすとも巣穴を掘る

コガラが木くずをくわえる
コガラが木くずをくわえる

 おす、めすともに巣作りをするようで、1羽が数分掘ってその場を離れると、すかさずもう1羽が巣の口に止まって掘りはじめていました。 また体を出した際、木くずをくわえていたり、木くずが落ちたりすることがあり、掘りかすを巣穴の外へ出しているようでした。

 枯れ木も山のにぎわい

 このようにコガラは立ち枯れた木に穴を掘って巣にします。 キツツキの仲間にも立ち枯れた木を同様に利用する種もあります。 キツツキの仲間はクワガタムシの幼虫やカミキリムシの幼虫もえさとしていますが、それらは枯れ木(朽ち木)を食べながら、枯れ木の中に生息しています。 生きている木の花や葉もさることながら、枯れ木も、コガラをはじめ、様々な種の生息に欠かせません。 「枯れ木も山のにぎわい」という言葉があります。 本来の語義ではありませんが、まさにその通りで、それらに依存している種も少なくないのです。


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11.05.13 N / 07.04.01 N