オオカナダモは、桂川に飛来するカモの主なえさのひとつです。
オオカナダモはトチカガミ科の水草で、南米、アルゼンチン原産の帰化種です。
桂川では流れのゆるい場所などの水底にまとまって生えています。
オオカナダモの帰化する前の桂川の水底には在来種が生えいてたのでしょうか。
そもそもオオカナダモのようなタイプの水草が生えやすい、流れのゆるい場所は、川に堰を設けたことにより以前より増えたはすです。
堰のなかった時代にはそのような場所があまりなく、生える水草のタイプも異なっていたことでしょう。
それに伴い、飛来する鳥の種の内訳も今とは違っていたと思われます。
川底にびっしりとまとまって生えるオオカナダモ。左上の2つの点はカモです。 |
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今となっては桂川の流域は市街地がほとんどですが、100年もさかのぼれば、一面、田んぼなどの農耕地や湿地だったようです。
絶滅したミナミトミヨというトゲウオ科の魚類の生息場所は、兵庫県の一部と、ここ桂川流域の湧水だけだったそうです。
身近な場所に絶滅種が生息していたことを知ったときは驚きました。
かつてミナミトミヨが生息していたとされる辺りを訪れますと、住宅地の間にわずかに田畑が残っているだけです。
トゲウオの仲間が生息できるような清らかな水がここにあったとはとても思えません。
数年前、ある博物館でミナミトミヨの標本を見たことがあります。
いわゆる"豆アジ"にも満たないほどの魚が数尾、ビンの中にホルマリン浸けになっていました。
現代では"冬水田んぼ"などと銘打って、冬にわざわざ田んぼに水を引きます。
かつては田んぼの圃場整備も進んでおらず、用水路の排水機能も悪く、冬には湿った田んぼが広がっていたと思われます。
稲刈りの刈取りの効率も悪く、落穂も今よりたくさん落ちていたことでしょう。
桂川流域のそのような場所へカモは飛来していたのかもしれません。
今となっては、堰によってできた淀みに飛来したり、帰化植物をえさとするなど、鳥は人為的な変化に対応してしたたかに生活しています。
もしくは人為的な変化に対応できた鳥だけがここ京都・洛西で生活しているとも言えます。
しのび寄る変化に適応できず、ミナミトミヨのように姿を消してゆく種もいることでしょう。
ここでは見られなくなったということが全国に広まって日本では絶滅ということになります。
身近に見られていた種がいなくなれば、その種の個体数が全国的に減少している一端なのかもしれません。
日々の観察の蓄積により、そのような変化に気づくことができます。
< 参考リンク >
ミナミトミヨ ※ 京都府 レッドデータブック
2011.01.03